スプラトゥーンはなぜ売れたのか 面白い部分と凄い部分

最近スプラトゥーン2が発売されました。このゲームは任天堂TPSゲームで、任天堂からこういったゲームが出たのをシリーズ1作目が発売された時は驚いたものでした。今回は2作目ということで様々な部分がブラッシュアップされており、いままでプレイしてきた人からもかなり評価が高いようです。私はこのゲームをプレイしたことはないのですが、動画をみたりすることは多々あるため今回は、私が感じたこのゲームの凄いところを話していきたいと思います。

 人気の弱いTPS

スプラトゥーンはTPSといったシューティングゲームとなります。TPSシューティングゲームといえば最近でいうと、PUBGなどが流行っていますが、基本的には爆発的な人気を生み出すには少し弱いジャンルです。プレイする人が限られてくる上に対人戦がメインとなり、うまくならないと全く面白くないといったところが原因でしょう。TPSではなくFPSの話になってしまいますが、BFやCODなども人気シリーズといえますが、女性や子供がプレイするというよりはがっつりプレイしたい男性がターゲットとなります。当然男性だけではなく、幅広い層に支持されなければ傑作とはいえないのですが、その辺をクリアできたスプラトゥーンが多くの心をつかめているということになります。

 

ポップなデザイン

まずこの理由を述べてしまうと安っぽくなってしまいますが、一番最初はこの部分でしょう。「なんだか可愛い2頭身のキャラクターが動いている」という印象は、無骨な兵士が戦場を走っているというよりははるかにとっつきやすいかと思います。また、こういったデザインにすることでポップな演出も起こしやすくなります。例えばスプラトゥーンなら、インクの中に潜ることができるわけですが、リアルに描写された屈強な兵士がインクに潜ったら「え?」となるわけですね。こういうデザインにすることで様々なことに挑戦できます。ただ個人的にはデザインの部分で人気が出たということではなく、ゲームのシステムが非常に優秀だったと思っています。デザインは入り口を広くする導入部分なのです。

 

 

奇抜な色を使う

プレイヤーは何気なく派手なインクを撃っているとは思いますが、私はここに一つ工夫があると思っています。まずこういったシューティングゲームは見つからないという部分が重要だったりします。よく見えない場所から撃ち抜かれるといったことがTPS、FPSではよくありますがこれは目立たないようになっているからです。軍服は基本的に迷彩だったり周りに溶け込めるような色になっています。スプラトゥーンは逆にとても目立つような色になっています。またチームカラーでまったく違う色が使われ、敵と味方の区別がはっきりします。この部分が重要だと思っています。もちろん見えていない範囲から攻撃されればなすすべもなくやられてしまうわけですが、前進していて色が変わっているポイントまで来ると、「敵のエリアに入ろうとしている」ということがすぐにわかるわけです。普通はどこで待ち構えているかなどわかりません。ですので色の違いが現れると「戦いが始まる」と認識することができるのです。非常にわかりやすく、初心者でも簡単に戦闘と非戦闘が区別できるわけです。リアル志向のゲームは慣れが重要です。慣れた人なら、音、仲間の動きなどで戦闘状態を予想することができますが初心者がそんなことを予想するのは不可能ですしカモにされて終わりです。

これは心の話になるのですが、戦おうと思って負けるのと、戦おうとも思わずにやられるのは全く違います。ようするに不意打ちはかなり精神的にもきついですね。もちろん上級者などは不意打ちでも「今のは相手がうまい。仕方がない」と諦められるかもしれませんが、初心者なら「何もせずに負けた」と思うでしょう。そしてそれが何度も続くと面白くないと感じてしまい、プレイをやめてしまうかもしれません。操作の技術で負けたということであれば練習しようとも思えるわけです。

要するにこれまでの対人シューティングはリアルでわかりにくいものでしたが、スプラトゥーンはあえて初心者にも、敵の接近や戦場の状況を直感的にわかりやするといった手法をとったわけです。これだけでも、自分自身のゲーム技術のレベルアップは大きく緩和され早く中級者に追いつける可能性があるという部分が素晴らしいと思います。

 

 

近接攻撃だけでも戦える

ほとんどのFPS、TPSは銃撃することで相手を倒すことができます。もちろん近接攻撃を使って倒すというシーンもありますが、それは限定的なシチュエーションだけでほとんどが銃撃です。ここで重要になって来るのが、エイムという技術です。エイムとはカーソルを敵に合わせるという技術なのですが、このエイム力というのが勝敗を大きく変えます。よく、めちゃくちゃFPSのうまい人が、「FPSはエイムじゃない。戦術だ」といっていることがありますが、そんなことはありません。うまい人の戦術は高いエイム力があるからなせる技なのです。ですので基本的にエイムが下手くその場合はうまい人の立ち回りを真似しても同じようにはいないものなのです。

スプラトゥーンもTPSシューティングなので当然エイムは必要になりますが、より直感的に操作できるようなジャイロによる操作があります。これも優秀なのですが一番は近接攻撃系の武器がしっかりと使えるということだと思っています。代表格としてはローラーです。ローラーは遠くまでインクを飛ばすことができませんが、コロコロ地面を転がしている範囲に敵がいればキルできてしまうわけです。これはエイム力はほとんど必要ありません。これこそ本当に立ち回りだけで戦えるわけです。しかし、普通のFPSでは近接戦闘は限定的であるのにどうしてスプラトゥーンは限定的にならないかというと、マップの広さと、通常の銃の射程のバランスです。このバランスが優れているので、ローラーが一番強いということにはならないし、普通の銃で撃っても最強とは言えないという状態となります。この仕様のおかげで、エイム操作というものが未経験、もしくは苦手でも選択する武器次第では十分戦うことができます。

私の周りにもスプラトゥーンが初めての対人シューティングという人は何人かいますがやはりローラーや筆をチョイスしたようです。もちろんこれは私の周りの話なので全員に当てはまるということではないと思いますが、少なくてもそういった人もいるということになります。

 

 

最終的には奥が深い

ここまで初心者に対して簡単だから人気だったという話をしてきましたが、だから強い人がいないのかという話ではありません。当然突き詰めていけば奥が深いわけですし普通の人が到底たどり着くことが不可能な領域だってあります。簡単だからつまらないということはありえないのです。むしろ簡単操作だから対人戦を行うことで難しいと感じるようになるわけですね。

たとえになっているかわかりませんが、サーキットを車で走るとして、複雑なコーナーがたくさんあるコースがコテコテFPS。2本の直線とそれとそれを結ぶ2つの大周りのコーナーだけで構成された円型のコースがスプラトゥーンといった感じでしょうか。円型のコースは複雑な操作は必要ないかもしれませんがそれでも優勝者は生まれますし、最下位も生まれます。そういったコースで走るレースもありますしそれだって人気は高いのです。ですので簡単だから面白くないということではないわけですね。

 

 

eスポーツに最適だった

もともとeスポーツを意識して作られたのかはわかりませんが、4対4であることや、戦闘時間が短く設定されているなど非常にeスポーツに適している内容だったと思います。4人という人数は集めやすくチーム単位で相手と対戦することができるわけです。例えばスマブラをプレイするとし4人集まって、4人で対戦するとどうなるかというと、誰かが優勝しますが誰かがビリになります。この実力が全員近ければ良いのですがそれなりに離れていると、ビリの人はいつまでたってもビリですし、面白いと思わないでしょう。しかし4人チームで戦うことで仲間意識は高まりますし、相手を倒そうという共通した目的が生まれます。これが長続きする理由でもあります。

ソロでプレイすると「今日はやならなくていいかなと」飽き始めたころに少しずつ離れていったりしてしまいます。しかし、4人などでプレイしていると、誰かがやろうという話になれば「じゃーやろうかな」となり、プレイ人口の減少にも繋がるでしょう。それはどんなFPSでも同じと思うかもしれませんが、やはり様々な層がプレイしているというのは大きいと思います。

 

 

最後に

現在スイッチ自体が品切れ状態でなかなか手に入らないようですね。前作をやっていたからやりたいのに本体がないといった人が続出していると思いますが、本体が安定供給されるまで待つしかないですね。スプラトゥーンはゲーム業界でもちょっと人気の弱かったTPS、FPSというジャンルに光をさしたタイトルだと思います。ただ、今後スプラトゥーンのおかげでものすごくそのジャンルが盛り上がるかと言われればそんなことはないと思いますし、スプラトゥーンだからプレイしているという人は多いと思います。しかし、スプラトゥーンを始めて、TPS、FPSが好きになったからコッテコテのFPSをプレイし始めたという人も中にはいるでしょう。そういう意味でもやはり壁を壊してくれた作品だと思っています。まだ発売されたばかりでこれからどんどん盛り上がっていくと思いますが、さらなる可能性を見せてもらいたいですね。